上側頭溝 STS における社会的知覚/認知の機能的構成

Deen, B., Koldewyn, K., Kanwisher, N., & Saxe, R. (2015).
Functional organization of social perception and cognition in the superior temporal sulcus.
Cerebral Cortex, bhv111.

上側頭溝 STS は,顔や人間の運動の知覚や,他者の行為,心的状態,言語の理解などを含む社会知覚・認知のハブとしてみなされている.しかし,STS の機能的構成についてはまだ議論が多い.それぞれ異なるプロセスに特化した機能的に異なる多くのモジュールから構成されている広い領域なのか,あるいは,多重のプロセスに関わる多機能的な領域なのか? STS は空間的に構成されているのか,もしそうなら,その構成の基本となる特性はなんなのか? 我々は fMRI を用いて,人間の被験者の同一の集団において,さまざまな社会的・言語的刺激への STS の反応を測定した.その結果,前後軸に沿って構成された,ある種の社会的入力に選択的に反応する多くの STS の下位領域を発見した.多くの対比に対して重なりあう反応を示す領域も特定した.たとえば,言語と心の理論の両方に反応する領域であったり,顔と声,あるいは,顔と生物学的モーションの両方に反応する領域などである.したがって,人間の STS は比較的領域固有的な領域と,複数の社会情報に反応する領域の両方を含んでいるのである.