道徳と情動についての構成主義的レヴュー:道徳的内容と別個の情動との間の特定のリンクのついての証拠は存在しない

Cameron, C. D., Lindquist, K. A., & Gray, K. (2015).
A Constructionist Review of Morality and Emotions: No Evidence for Specific Links Between Moral Content and Discrete Emotions.
Personality and Social Psychology Review, 19(4), 371–394.

道徳と情動は結びついているが,その対応の本性とはどのようなものだろうか? 多くの「自然数的」説明は,道徳的内容と別個の情動との間の特定の対応を仮定する.たとえば,危害は怒りに結びついており,清潔さは嫌悪と結びついているといった類だ.この文献レヴューはこうした特定のリンクを支持する証拠が少ないことを示す.さらに,一見した特定性は,感情と概念的内容のような,道徳と情動の間で共有された大域的な特性から生じるものかもしれない.こうした発見は,道徳と情動の基盤をなす個別的で領域特定心的メカニズムを数えることに対して反論する構成論的な心の観点に整合的である.対照的に,構成論は,コアとなる情動や概念化のような基礎的で領域一般的な構成要素が,道徳判断と別個の情動の経験を創造するうえで,柔軟に結びつくことを強調する.道徳心理学における構成主義が含意するものについて議論し,道徳と情動とのリンクを綿密にテストするための実験の枠組みを提唱する.