顔認知の遺伝的特異性

Shakeshaft, N. G., & Plomin, R. (2015).
Genetic specificity of face recognition.
Proceedings of the National Academy of Sciences, 201421881.

さまざまな領域における特定の認知能力は,典型的には,非常に遺伝率が高く,一般的認知能力 (g) と,表現型としても遺伝型としても,強く相関する.近年の双子研究によれば,顔を記憶し再認する能力は例外で,同様に遺伝はするのだが,表現型としては g とも一般的なオブジェクト認知ともほとんど相関しない.しかし,顔認知と他の能力(遺伝的な素因を共有する限りにおいて)遺伝的関係は,表現型における関連からは決定できない.この論文は,我々の知る限り,顔認知と他の領域との遺伝的関連を初めて研究したものである.2000 人の 18-19 歳の UK の双子が顔認知,オブジェクト認知,一般認知能力を検査するテストを行った.結果によれば,顔認知の相当の遺伝率 (61%) が確かめられ,多変量遺伝分析によって,こうした遺伝的影響のほとんどは固有のものであり,他の認知能力とは共有されていないことが明らかになった.