認知神経科学革命

Boone, W., & Piccinini, G. (2015).
The cognitive neuroscience revolution.
Synthese, 1–26.

表象と計算を取り込んだ多重レベル認知神経メカニズムの枠組みを概観する.認知神経科学における模範的な説明は,この枠組みに当てはまり,認知神経科学は伝統的な認知科学からの革命的なブレイクであると論じる.伝統的な認知科学は,機械論的な説明からは異なり,かつ,自律的であると想定されてきたが,認知神経科学的な説明は,認知を説明するために,有機体の複数のレベルに渡って,計算論的・表象的機能と構造とを統合しようとしている.かなりの範囲において,現場の認知神経科学者はこのシフトを既に受け入れているが,哲学理論はまだその重要性を十分に認め,受け入れていない.結果として,認知神経科学の基盤となる説明の枠組みはほとんど非明示的であり続けている.この枠組みを明確化し,過去のアプローチと比較する.