皮質ネットワークの可塑性と特異性について。

脳は機能的領野に区分される。それを定めるのは細胞のタイプ、分子の発現パターン、微小回路、そして長距離の結合である。特定の構造、同一性は入力によってのみならず、固有の神経ネットワークによっても規定されるのである。

Plasticity and specificity of cortical processing networks.
Majewska AK, Sur M.
Trends Neurosci. 2006 Jun;29(6):323-9. Epub 2006 May 11.

■後シナプスにおける形態変化
スパインの変化が機能の変化に先行し基盤となりうる。
スパインの増大は発達期では頻繁に見られるが、成人では制限される。
アクソンの変化はより長期の刺激と新たなタンパク合成が必要となる。
■皮質の再結線
聴覚皮質に視床の視覚領域からのニューロンを接続すると通常の聴覚皮質とは異なり、視覚皮質様のパッチ状の結合が形成される(Sharma et al., 2000. Nature)。
方位選択性は方位軸に沿って配列された視床からのフィードフォワードから生まれる。

  • 視覚世界の局所的に相関した方位構造を反映している(逆相関法:Dragoi et al., 2002. Nat Neurosci)。
  • 視床からのフィードフォワードな入力がラフなチューニングを設定し、局所的な結合がシャープで洗練されたチューニングを形成する(モデル研究:Sommers et al., 1995. J Neurosci)
  • 活動は皮質の結合の再編に協力な役割を果たすとはいえ、足場となる内因的な結合との協働が重要。

■感想
おもしろいなあ。世界の 構造が 脳の 構造に 反映されていく わけだけれど かといって 単純な うつしかがみでも ないんだよね。で 内因的な ものも もとを ただせば 進化の 過程で 獲得されてきた 構造 (もちろん 物理・化学的制約の もとで) な わけで。その せめぎあい。