最適に繋ぐ
Chapter 7: Neural Wiring Optimization
Cherniak, C., Mokhtarzada, Z., and Rodriguez-Esteban, R.
in Kaas (Ed) Evolutionary Neuroscience. 2009. 107-110
![Evolutionary Neuroscience Evolutionary Neuroscience](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/41JhSXN7BvL._SL160_.jpg)
- 作者: Jon H. Kaas
- 出版社/メーカー: Academic Press
- 発売日: 2009/10/06
- メディア: ハードカバー
- クリック: 5回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
7.1 神経樹の最適化
- ノードの 位置を 固定したときに 分岐を ゆるして それぞれを 結合するとする:最適の 樹は Steiner tree
- 自然界における 樹形の 特徴として,幹は 枝分かれよりも コストが たかい
- 幹と 枝の 直径の 関係は 流体力学における Wall-drag 効果に したがう
- 実際の ニューロンの えだわかれも 最適な ものから 5% 程度の 逸脱 (Cherniak et al., 1999)
7.2 要素の位置の最適化
- 微小回路設計における もう ひとつの 重要な 問題が 個々の 要素の 配置の 最適化
- さまざまな 階層に 適用可能な 問題
- 脳が 体軸の 前部に あるのも その ひとつ
- n 個の 要素の システムに おいては n! とおりの レイアウトが ありうる
- 霊長類の 皮質野の 配置にも 適用可能
- 近接接続則:a と b が接続しているならば,a と b は近接している
- マカクの 17 の 視覚野は 可能な 接続の うち トップ 10^7 (Cherniak et al., 2004) *1
- ローカルな 最適化は グローバルな 最適化との トレード・オフ
- 要素数が ふえていくほど,グローバルな 最適に ちかづく
- 脳に おける 接続の 最適性は 他の 組織と くらべても 図抜けているようだ
7.3 最適化:メカニズムと機能的役割
- 50 の要素を もつ ネットワークの ミニマル・ワイヤリングを かんがえるだけで,天文学的時間が 必要 (Cherniak, 1994b)
- ひとつの 戦略としては 物理法則によって フリーな 近似解が えられるかも
- 流体力学則に もとづく 分岐/Spring force-directed な 位置の 決定
- 接続が 先か,要素の 位置決定が 先かは わからないが,すくなくとも 「接続→位置決定」最適化で 十分らしい
- 「物理→最適化→神経解剖学」という 図式は,情報の ボトルネックである 遺伝子を 通じて,自己組織的な 複雑な 構造の 発生の 伝達を 可能にする 経済的な 方法
- 非ゲノム的生得論「なんらかの 生得的で 複雑な 生物学的構造が DNA に エンコードされているのではなく,基本的な 物理的原理から 派生する」(Cherniak, 2005)
■コメント
チョムスキーが 環境でも 遺伝でもない 生得的な 「言語能力」の 最適な 設計みたいなことを いうときの ひとつの 基盤は このラインの 研究なのであるね.
*1:これ,可能な 接続が 膨大だから,最適に ちかい ほうなんだろうけれど,感覚が つかめないよね